手術/治療について

白内障日帰り手術

手術は、日帰りでおこなえます。

日帰り手術の流れ

(1) 自覚症状がでて、眼科を受診する。
  • 白内障の症状としては、 視力低下・霧がかかった感じ・明るい場所がやたらと眩しい・逆光で人の顔が暗くみえる等。
  • 生活上不便を感じた時が受診のタイミングです。
  • 白内障以外の原因で視力が低下している場合もありますので正確な診断が必要です。
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(2) 白内障と診断される。
  • 軽度なら目薬で様子を見る場合もあります。またご希望があれば、診察当日に手術の申し込みをすることもできます。ただし、申し込みから手術日までは1~3ヶ月程度お待ちいただいております。
  • 手術ですので、決定に際しては御家族にも御相談ください。できれば御家族も一緒にお話を聞いていただける方が望ましいでしょう。
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(3) 手術を申し込む。
  • 眼科や整形外科は『機能外科』ともいわれます。身体の機能を改善し、より質の高い生活をサポートするという意味です。
  • 白内障自体は生命に係わらない疾患ですので、通常はより良い視力、質の高い生活を得るために手術をします。ですから患者さんの考え方やライフスタイルが最優先されます。(ただし、合併症を引き起こしている場合、白内障自体が他疾患を引き起こしている場合には、積極的に手術をする時もあります。)
  • 当院では、白内障の写真・検査の結果をもとに、患者さんが納得のいく説明を行い、手術の決定は患者さん自身に、していただいております。
  • 内科等で通院中の方は、ご相談ください。担当医との、連携判断が必要となります。なかには手術時期を延期した方が良い状態のこともありますので、その場合は内科の主治医の判断に従います。
  • 手術が決定したら手術までの全ての日程を書いた予定表をお渡しします。
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(4) 手術前検査
  • 人工レンズの度数を決めるための眼の超音波検査、また手術では多少の出血を伴いますので、血液を介して感染する病原体(肝炎ウィルス等)の有無等の検査をおこないます。
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(5) 手術の説明と同意・術前術後の説明
  • 毎週火曜日正午から手術説明会をおこなっております。
    ※参加費は無料です。手術を受けない方でも、興味があれば参加できます。その場合、事前に御連絡ください。
  • 白内障手術は短時間でできることが多いため、簡単な手術と誤解されがちです。しかし実際には顕微鏡を用いた精密な手術ですので、手術や合併症に関する正確な理解が必要です。
  • 手術までのスケジュール、術前術後の生活上の注意点に関しては『白内障日帰り手術のしおり』をお渡しします。読み合わせも行いますが、家でも熟読しておいてください。
  • 不安なことがありましたら、いつでもご相談下さい。
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(6) 手術当日
  • 手術前に、点眼等の前処置があります。点眼薬が効くまで1.5~2時間かかり、手術室入室はその後になります。
  • 手術時間は白内障の程度(硬さ)や術式によって異なります。 (当院では手間を惜しまず、感染等の合併症を最大限に防止できる術式を採用しています)。手術自体の時間は概ね10分程度ですが、その他に準備、消毒、処置等の時間もかかりますので、手術室に入ってから出るまでは30~45分程度かかります。付き添いの方は心配なさらないでください。
  • 当日、当院に来られてから帰られるまで、3時間程度とみて下さい。
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(7) 手術後の定期検査
  • 基礎疾患や合併症の有無により異なりますが、術後の定期検査が必要です。
  • 一般的な目安として、手術の翌日、三日後、翌週に診察を行います。それ以降は、1ヶ月に1~2回診察を行います。

白内障手術概要

にごった水晶体をとり除き、かわりに透明な人工レンズを移植する手術です。

黒目と白目の境の部分に数ミリの切開を入れ、そこから特殊な器械を使ってにごりの部分を砕きながら吸い出すという最新の方法をとります。

また、柔らかい人工レンズを丸めて眼内に入れ、中で拡げて固定します。この方法によって術創が非常に小さくなりました。

以前は水晶体のにごりを全部まるごととり出し、硬く大きな人工レンズに交換する方法が主流だったために、切開は1センチ以上必要でしたが、現在では、傷口がずい分と小さくなりました。
傷口が大きいと合併症や感染等の危険性が大きくなり、また術後に乱視もでやすくなります。

手術はにごりの硬さや状況によって異なりますが、おおむね10分前後で終了します。
なお水晶体には神経がないため、局所麻酔でも痛みはほとんど感じません。
また、より清潔な部分(黒目の上方)に手術創をつくり、手術終了時には結膜をいう軟組織でそこを丁寧に覆って保護するという方法を当院では採用しています。この方法は多少手間と時間がかかりますが、感染等の合併症を防ぐのに有効です。

手術費用

保険適応です。1割負担で再診の場合、当日におおよそ15,000円かかります。
(令和2年4月現在)

注1
2割・3割負担の方はこの約2倍および3倍となります。
注2
月の医療費が基準値を超えた分は、免除されます。
70歳以上の方で、1割・2割負担の方は18,000円が上限となり、3割負担の方は所得により変わります。詳しくは行政に確認してください。
(平成30年8月から)
注3
令和2年4月からは多焦点眼内レンズは選定療養の適応にもなりました。選定療養とは、付加価値分を保険医療に上乗せして受けられる医療サービスのことで、歯科の金歯のような仕組みです。

レーザー治療

レーザー(LASER:light amplification by stimulated emission of radiation)とは、一言でいえば、その名の通り高いエネルギーをもった光の一種です。
その特性を利用して、眼科でもさまざまな疾患の治療に使われています。

例えば、
黒目の表面を削って近視を軽減させる、
眼の中の水(房水)の流れを良くして緑内障の治療に応用する、
糖尿病性網膜症などに対しては、網膜に照射して循環のバランスを改善させる、
また、眼の中の『にごり』や牽引物を切除する・・・・など。
本当にさまざまな治療に応用されています。

当院では、このうち網膜・虹彩・隅角・水晶体嚢に対するものを実施しております。
2種類のレーザー装置を設置し、これらを使い分けることにより糖尿病性網膜症、緑内障、後発白内障、眼底出血等の治療を実施することが可能です。

治療までの流れとしては、一般的には(緊急性のないものについては)、予約制とさせていただいております。

レーザー治療が必要と判断される時点で、写真や検査結果をもとに症状の経過をご説明し、更に患者さんの予定も考慮の上、治療に最適な時期を決定いたします。
ただし、緊急を要するもの(たとえば、急性緑内障発作など)は、当日すぐに行う場合もあります。

ご不明な点がございましたら、お気軽にお問合せください。

レーザー治療費用

全て保険適応です。1割負担で再診の場合、当日におおよそ以下の費用がかかります。
(令和2年4月現在)
代表的なもののみを記載してあります。下記以外のものについては直接ご相談ください。

網膜レーザー凝固
網膜静脈閉塞症など 約 10,500円
糖尿病性網膜症・網膜剥離など 約 16,500円
虹彩レーザー切開 約 7,000円
隅角レーザー凝固 約 9,000円
後発白内障切開術 約 1,500円
注1
一連の治療に関する片眼についての費用です。
注2
2割・3割負担の方はこの約2倍および3倍となります。
注3
月の医療費が基準値を超えた分は、免除されます。
70歳以上の方で、1割・2割負担の方は18,000円が上限となり、3割負担の方は所得により変わります。詳しくは行政に確認してください。
(平成30年8月から)
注4
初・再診の別、投薬の種類等により多少異なります。

抗VEGF治療

VEGF(vascular endothelial growth factor:血管内皮増殖因子)とは生理的環境下でも分泌されている物質で、一言でいえば既存の血管から新しい血管を分岐・成長させるタンパク質の一種です。

ただしこれが低酸素などの病的環境下で異常に分泌されると不完全な新生血管が無秩序に増殖もしくは既存血管の透過性も亢進して、眼科的には緑内障や黄斑部浮腫や硝子体出血等の合併症を引き起こし、視力に重大な障害を引き起こします。そこでこの物質をブロックする薬剤を眼内に投与することで鎮静化を図ります。この薬剤は生物学的製剤のため非常に高価ですが、健康保険で対応できますのでご安心ください。

加齢黄斑変性・網膜静脈閉塞症・糖尿病などの合併症例が治療対象となります。